小生は甲州山梨の産ですので、甲州ブドウの話しを致します。
子供のころ、収穫の終わったブドウ畑に行って、いわゆる「目残し」と言って、大きなブドウの葉に隠れていて収穫を免れた小さな房を探し回った記憶が鮮明にあります。
探し回った場所がよその家のブドウ畑と言うところが田舎での子供時分のことで、既に追憶の彼方にあります。
ブドウ畑が初霜に当たると、直後に葉が落ちてブドウだけが残っているんですが、探すのにもコツがあり、広くて低いブドウ畑に立て膝になって遠方を透かし見るのですが、太陽の光を通したブドウが「早く採ってくれ!」といっているではないですか。
しめた!「めッけ!」とむしって房ごと食べるのですが、食べたあとの手についたブドウ汁がネバネバするほど糖度が増して、メチャメチャ甘いのです。
いわゆる、いつの間にか樹なり完熟の状態になっていたのですが、それもそのはずです。残った小さな房が全ての養分を独り占めしているものですから旨くならないはずがありません。
また、どこのブドウ畑もかなり広いものですから、残った全部を見つけられるというものでもないのです。
日が経つごとに水分がなくなっていき、色も心なしか光沢を帯びてきて、部分的に白いカビのようなものがついてしわしわになっているものもあります。
それがまた旨いの何のって!もちろん皮のまま食べるのですが…
いつの間にか自然の生干しブドウになっていたのですね。
実は、希少性の高い「貴腐ワイン」は、気象条件が合致し希にしかできないこのようなブドウ(白カビのついたブドウ)」を搾って造るということを大人になってから知りました…