ポン酢は使い方次第によっては大変手軽で便利な調味料となります。
ただ、誠に残念なことには、未だポン酢は関西の代名詞に近く、関西圏の調味料としての域を超えるまでにはなっていないのが現状であろうかと思っております。
先般朝日放送の「地ダレ」特集においても、関西発信のポン酢等地ダレが大阪守口にある、との紹介をされましたが、ジワジワの領域を未だに脱するところまで行き着いていないのが現状だと認識しております。
ところで、最近「食育」という言葉を耳にしたり、また活字を目にしたり致します。
食にまつわる文化を育成するのは「食育」なのかな、と考えたりしておりますが、大事なことは人が味を認識するのは子供のころと大人になってからの二通りがあると言われていることです。
子供のころの味は母の味であることは疑う余地がないことですが、大人の味は後から作られることですので、形成された環境はいつかによりその人の大人の味は決まってしまうのではないかと考えます。
「ホヤ貝」という独特の苦味を持つ貝を食べて「旨い」と感じたのも20代後半になってからで、宮城県出身の先輩に連れられていった先で食べさせられ?ました。
苦味を旨味に感じた最初の経験でもありましたが、「こんな旨いものはない!」とすすめてくれたやさしい先輩とホヤ貝はいまでも重なり合って鮮明に記憶されております。
以後、苦味が旨味の一種に加えられ学習されて今日に至っておりますが、変化した味に遭遇した背景がその後の小生の人生に多大な影響を及ぼしたことを考えると「大変重要な場面であった」ことになってまいります。
人生の歩みの中で、味によって記憶されている重要な事項は意外と多いことに気が付きますが、味が作る触れ合いにより、人生の歩み全てに良い影響を与えてくれるものになってくれたらと願いたいものです。
この際、苦いポン酢でも作ってみますか…旨いかまずいかは別にして、きっと印象深く覚えて頂けることになるでしょう。