ポン酢と豊かさとは全く関係がないように見えますが…
一億総中流階級になりつつある…と言われたのはバブル期のまっただ中、と記憶しております。
同時期に、一般社会生活には急速な形で至便さが入り込みましたが逆の流れとして「動く」ことが少なくなってその場にいて何でも済ませてしまおうとする便利さから、いまや家の電気を消すのもリモコンが当たり前になってしまいました。
便利さは時間の短縮をもたらしましたが、しかし自ら動いて行う本来の人の動作やリモコンはどこに行った?などと理屈に合わない不便さをも提起してしまっております。
実は、新製品ポン酢にもその風潮を取り入れるか否かの議論が以前からあり、問題点の行く末は常に岐路に立たされ躊躇の場面がしばしばあります。
例えばポン酢に使う「ダシ」を例に取ってみますが、近年、美味しさを強調するものが溢れております。それが、少量でインパクトを与える味を出しますので使用する側としましてはコスト軽減、味の増幅という魅力的な素材となります。
しかしながら弊社は依然として利尻昆布○g、鰹削り節○g、混合オリジナルダシ○gを水○ℓでどれくらいの時間煮出しして…等、手間暇と時間をかけた素朴な方法でダシを煮出して製造しております。
コスト高になるけれども手をかけ、時間をかけて自前のダシを作るのが良いのか、調整された完成品を少量使ってコストダウンを図った方が良いのか…
ダシ一つでこの有様です。
製品の「素朴さ」を追う小生の在り方は経営者としての技量は劣るかもしれませんが、しかしながらできあがった製品に対する満足さを心の豊かさとして持つことはなかなか捨てがたいものがありますゾ。