世の中にはすごい人がいるものですネー
「人間は下から覗いて初めてその価値や真価が分かる」
若いころ心身の鍛錬の場で、有識者から聞いたことがありましたが、目の前で突然の形で語られたのにはただビックリ!です。
要は「浮浪者の仲間に入って道ばたに座り、歩く人の足を眺めているといろいろな人生模様が分かってくる。」ということです。
理屈としては分かるような気がしますが、恥も外聞も捨てて果たして浮浪者になりきって人の行き交う道路に座ることができるかどうかです。
その方は経営していた会社が倒産し、裁判の結果個人破産の手続きを経て、1年余の間浮浪の経験をしたそうです。
自ら滔々と語られ、さながら人生を超越した様が感じられ、全ての事象に対して悠然とした捉え方をしているように見て取れましたので心境を伺いました。
「物欲が消えて、今は一切そのようなものがありません。」
そのように答えてくれました。
ウーン… これは神か仏か、さてまたこれもまた非凡なるが故のなせる技か…
「自己破産判決に際して、債権者から恨み節や意義を唱える人が一人もいませんでした。裁判官も驚いておりましたが、自分でも不思議なことと驚いております。」
誠心誠意を尽くして整理をしたから債権者から理解を得られたのだと思います。
「今はおかげさまでこの様な生活をさせてもらっていますが、巻き返してやろうという心境はありません。」
ウーン だから物欲が消えたのかもしれません。
海舟翁は「毀誉恬然」と言われたが、この心境は非凡の領域にあるが故に出てくる言葉で、翁を切りにきたはずの坂本龍馬は翁に会ってたちどころに帰依したと伝えられておりますが、同様に翁が言われた「名利超然」たるところに実はこの非凡な領域があると小生は考えております。
平成の御代に人を切る刀はいらないことは当たり前のことですが、「生き様」というものに人生を掛けるところの「人生の達人」については、小生が特別興味を持っている領域になります。