猛暑に関わらず訪問される方には大変気の毒に思います。
まずアポ取りの電話があり、来社して挨拶を交わした言葉遣いでほぼ目的が見て取れます。
それにしても、また値上げ!
それでも、できあがった商品に値上げ分をそのまま転嫁できれば良いのですが、殆どの原材料が値上げされ、再々度値上げ予定もある現状下で、製造する側としては安易な転嫁が良いとは思えませんし、このようなときこそ知恵を絞り、何か別の方法を考えることの方が大切ではないかと思います。
いくつかある要因の中で、資源のない我が国では唯一の技術力をもって対抗できていた訳ですが、コストを下げるために人件費の安い国に工場と技術を持って行ったために若者は雇用の機会を失い、技術の継承もできなくなり、ローコスト・大量生産・廉価品は「商品の多くは使い捨て」傾向に誘い「もったいない」言葉を世界共通語に押し上げてもおります。
このような状況下で、後継者問題は日本の中小零細企業の存続を脅かす大きな要因ともなっています。
雇用の機会が失われたため失業率も高くなり、日本社会の安全神話も崩れつつあります。全てはこれらのツケが来ているのではないかと思いますが、歴史は繰り返す?の例え通りだと思えませんか?
ついこの前のこと「資産もあり無借金経営の会社ですが、後任社長のなり手がいない。誰か知り合いに情熱をもった人がいませんか。社長さんはあと何年するつもりですか?」
オッと!白羽の矢、ですか!
「ずっとです。」
躊躇ない小生の答えに話題がとぎれましたが、黒字経営の会社にも、まさかのこのような悩みがあるとは驚きました。いっそ、頑張っている中小零細企業に資産を譲って、後顧の憂いなく悠々と余生を送られたらホント、清々すると思いますがいかがなものでしょうか。
なかなか、中小零細企業の現状には目に見えないところでどうすることもできない厳しいものがあるものですね。
これまでは小生どもの商品は「値段が高すぎる!」との声がありましたが、最近になって殆ど聞かなくなりました。今では「いよいよ時節到来ですね。」と言って後押しをしてくれる声が多くなってきております。
安いものを買うことに異議を差し挟むものではありませんが、良い商品を作ってその商品にそれなりの値段を付けることに躊躇はありません。
「高くて売りにくい」ということとは別もので、商品の内容にお客様が納得して頂けるのであれば値段が高くても何ら問題はない、と小生は考えております。
もちろん、知恵と工夫を凝らすことは大切なことであり、良い商品を少しでも廉価に製造する努力を惜しむものではありません。
安価な商品と品質の間には、商品を選択する際において「錯覚」に陥りやすい何かが潜んでいるように思えます。目利きを媒介にした、より安い値段のものを瞬間的に選ばせる競争心理に問いかけるものです。
競争心理は、誰よりも早く手に入れたい願望を満たしてもくれます。
もしかして、選ぶことより知らないうちに「錯覚」によって選ばされているのであったらどうでしょうか。
じっくり選ぶ、ということは単純な割に意外と大切なことかもしれません。
また「良いもの」の定義や基準はどうやって決めているのだろうか、ということにも興味があります。
インターネットの普及により、今や口コミをビジネスにしているところもありますが、自信をもって第三者に紹介できるものは、古くから唯一手堅く安心できる良品として多くの人に支持されてきました。
伝統の○○、老舗、本舗、元祖、創業○○年なども長年にわたり顧客に支持されてきた証です。
多くの顧客に支持されてきた証には重いものがあり、絶対揺るがない商品に対する自信にも繋がっていることと思います。
〃無事、これ名馬なり〃とは、小生の恩師の言葉でもあります。
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