明日は秋分の日。
小生のところでは例年、特にこの日は特別の日として位置づけております。
そうなんです。
徳島の現地ではごく普通に行っている「すだちの手搾り」を、小生のところではこの日を定めて、例年伝統的に行事として行う特別な日としております。
なぜ、このようなことを行うのか、と申しますと、最も美味しいとされるすだち果汁を得るには手搾りの方法が一番良い方法とされているからです。
理由はシンプルなもので、人の手で搾るため加わる力がほどほどとなり、よけいに皮を搾ることもなく、種をつぶすこともありません。
ましてや、途中でひねりを加えるために内皮に含まれているカロテンやペクチンなどのとろみ成分がほどよく絞れるために、トロ~リとした極上の果汁となるのです。
実はこの皮や種に含まれている苦み成分は、せっかくのすだち果汁の爽やかな酸味を美味しくない別なものにしてしまいがちなために嫌われるのですが、手搾りではこの皮を絞ることがありませんので、結果的に効を奏していることとなります。
ところが、近年では、香酸柑橘の皮の苦み成分にがん抑制効果があることに着目した研究が盛んになされており、ことは誠にやっかいなものとなってきております。
昔から「薬は苦いもの」と言われてきたように、やっぱり!との感じを強く受けてはおりますが、このような苦みを旨い!とか、美味しい!とかで表現できるのであれば問題はないのですが、この場合の苦みは旨いや美味しいとは縁遠いものになり、食べ物とは相性が悪いため「美味しくない」食べ物にしてしまいます。
ともあれ、すだちは今が旬です。
本場徳島では9月から10月始め頃までがすだちの収穫期となっていますが、9月中頃を過ぎた今頃は収穫の最盛期を迎えており、すだち玉の太り具合も上々の頃です。
すだちをはじめとした香酸柑橘類は、未成熟の時は堅くて手搾りには不向きですが、熟れてきますと皮が柔らかくなり、難なく搾ることができます。
現地の栽培者の話では、手搾りをするすだちは収穫してからしばらく放っておくとやや黄色みがかって、さらに柔らかくなるので簡単に搾れるとのことでした。
実際にやってみましたら簡単に搾ることができましたが、際だった酸味が薄らいでおりましたので、やはり熟れた緑色のすだちを搾るのが一番かもしれません。
搾り終わった果汁のことばかり褒めてきましたが、先ほどから申しているとおり皮の部分には未だ未知の有効成分が一杯詰まっております。
「搾った皮を少しかじると身体によい。」ことを昔からそのように教えられずっと続けてきていることは、そうすることが何かしら身体によいと信じられてきた証だと思います。
昔からずっとやってきたことに間違いはありません。
嫌われものの苦い皮にも、もしかしたら、未知の世界から脚光という光がいきなり当たる時がくるかもしれませんですネ
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