接ぎ木された3年ものですが、この木には棘がありません。
柑橘の仲間の中では、棘がないのは大変珍しいと言えます。
棘がないことから、ゆずの近縁種ではないことがわかります。
落ちていた果実を割って食べてみましたが、意外と甘くてびっくりしました。
夏期の青い果実が最盛期とばかり思っていましたが、冬場の今時が熟れ時なんですね。
柑橘類の固有種としては日本に2種しかないうちの一種がシークワシャーであると言われており「ポン酢にできたら、きっとおもしろいものができる。」と大変興味を持ったので、5年ほど前の夏に沖縄に飛びました。
ところが、事前調査をしていなかったことが災いしました。
シークワシャーに機能性成分があることを報道されたのと日本一の長寿村に自生していることで一躍脚光を浴びてしまった直後の訪問でした。
そもそも、柑橘に限らず全ての食物には機能性成分がなければ「栄養」という観点において説明が付きません。
徳島県には「すだちを搾った後に皮を噛め」との言い伝えが残っているそうですが、カンキツ総論によると「日本のカンキツは沖縄に野生するシークワシャーと九州や本州南部に古来野生していたタチバナだけで、現在存在するカキツは外国から渡来したもの」とある。
シークワシャーを食べれば長生きできるわけでもないと思いますが、テレビなどで大々的に報道された影響が大きかったと思います。
「内地から業者がいっぱいきました。」
地域の財産を孫子の代まで残す意義を述べるまでもなく、関係機関の方の大きなため息を聞くは目になってしまいました。
小生の熱い思いを真剣に伝えても、伝わるかどうかは相手方の聞く耳次第ということの結論です。
滞在中、南から北まで海とは無縁の行動をとり、レンタカーでひたすら走り続けた末の空回りのむなしさと限界を感じるとき、まだまだ努力が足りない自分の器の小ささをただひたすら責め続けることで慰めておりました。
シークワシャーは、小生が駆け出しのころに苦い思い出を残してくれた柑橘でもありました。
20,12,27撮影
P1050734_320.jpg