小生がこの会社に赴任してまもなくのこと、某大手スーパーから「たで酢」の着色について「食用着色料を使用しているたで酢は売れないから扱わない。」との強い意見が出されました。
ちょっと待ってください。
それでは、とのことでそのスーパーに行って販売されている商品を見てみました。
取り組み姿勢は尊敬に値し大いに結構ですが、並べてある商品のうち食用着色料を使用していないものがいったいどれくらいあるのか正確に把握してからいわれたのか、また使用量を調査してからの事なのか甚だ疑問に思うとともにかなり非現実的であることも強く感じました。
食品添加物表示問題連絡会、日本添加物協会共編の「新 食品添加物表示の実務」によりますと、食用色素製材緑色の通常添加量は0,05~0,1%となっております。
ちなみに小生のところの「たで酢」での食用着色料使用量は0,0002446%です。
しかしながら辛口のご意見は大変貴重なものでありますので、天然素材抽出の色素で試作を試みてみましたが、1ヶ月を過ぎたころから退色してきまして、約2ヶ月で濁った緑色になってしまいました。
大手企業研究室所属の技術研究員に聞いたところ、なんでも「緑色は世の中にある色の中で退色の速度が一番速く、現在の技術で天然素材抽出の緑色を安定的に持続させ物質の中に留めることはできない。」とのことでした。
食用着色料を使わないで食品を製造しようとする努力は大変重要なことだと思います。でも、植物である蓼は刈り取ってから放っておくとすぐに枯れてしまいます。変色して枯れ草色になったたで酢で、果たして高価な鮎を食べられる方がおられるでしょうか…
この場合、食品製造元が製造責任として食用着色料の使用目的、使用量等を公表して「食用着色料を安易に使うのではなく責任を持って使う。」ことの役割、効果を説明することによって消費者に商品の品質を正確に知ってもらった方がよいのではないかと思うのですが…