このところやけに雨が多いのですが、雨が味方となって春が駆け足でやってきていることが身体の軽快な動きによって体感できますね。
このように季節は何事にも真摯に、しかも逃げようとせずに真っ正面から立ち向かって来てくれます。
この日本の季節を捉えて日本的な潔さを感じるのは小生だけでしょうか。
かつて、潔さと清らかさを「恥」という倫理観により武士道を持って日本人の知的感覚を世界に示した一時期もありました。
先日久那土の同級生Tちゃんからフキノトウとフキ味噌が送られてきました。
生まれ育った久那土の香りが満載です。
大事に大事に、少量づつ味を噛みしめながら感謝感謝の思いで食べています。
電話でお礼を言ったら「そんなもん…」て、Tちゃんは相変わらずぶっきらぼうな言い回しで謙遜していましたが、生まれ故郷を離れて半世紀近くにもなる小生にとって、故郷久那土の匂いにはそれは特別な思いがあります。
摘まれたばかりのフキノトウは、熱湯をサッと通し鰹節を載せ自慢のぽん酢をかけて頂きました。
苦み走ったあの独特の味は何ともいえないものでした。
それにしてもサッと茹でたフキノトウにぽん酢はよく合います。
相性がいいのか、小生の思い過ごしなのか…
その辺はわかりません。
さて、先日まで職業訓練の一環と言うことで30歳を少し超えた若者を一ヶ月間預かっていました。
特に仕事に対する考え方と仕事の進め方を中心に指導させて頂きました。
・大きくは、仕事を人生の目標として捉える。
・小さくは、日々仕事の目標を設定し、計画を細かくプログラム化して検証しやすくする。
・昨日より今日は何が前進しているかを細かく分析し、必ず書き留めておく。
・今日の成果は何があったか、それは自分に何をもたらしたか明確に捉える。
・日々反省と工夫改善を加え、明日へつなげる目標設定をして次に備える。
次代を担う若者は将来設計に対する多くの不安を持っており、何かしら自信を失ってしまっているように思えます。
目に見える強さが感じられません。
衣・食・住が充足された平均中流階級という時代の中で、自活が必要な年齢に至るまで身の回りのことを誰かにかまってもらい、ある意味での過保護に育ったが故に自立心が遅れているように感じられます。
厳しく指導した翌日に「昨夜考えて書いてきました。」と、
・目標
・検証
・反省と検討
の文章を提出してきました。
まずは一歩前進といったところです。
仕事とは、人が生きていく上で最も大切な糧を得るために働くことであることを伝えました。
目標や生き甲斐も大切ですが、まずは生きていくための糧を自分で得ることができなくてはその次の設計が成り立ちません。
生きていくためには働かなくてはならないのです。
至極単純明快なことですが、現在はあまりにも自由という中に選択肢がありすぎて、身の丈を超え選ぶことを先にする傾向にあるように思えてなりません。
まもなくタデも若芽を出す時がやってきます。
毎日、毎日たで酢の製造に追われていながら、着実に、確かに季節は冬から春に変わりつつあることを肌で感じております。
新しいタデの若芽は昨年のこぼれ種から芽を吹き出しますが、人の心は何を持って新しいものに変えてくれますでしょうか…