今日は冬至。
一年中で昼が一番短く、夜が一番長い日である。
この日を境に少しづつ時間が逆転していくので、節目の日としてゆず湯につかりカボチャを食べて無病息災を祈る行事が今に伝わっている。
ゆずは奈良時代に渡来人によって日本に導入されたもので、現代では日本における柑橘の代表とも言える存在にもなっている。
外国から見るゆずは「オリエントの香り」だそうである。
何となく東洋の、しかも日本の神秘的な風情が伝わる重厚な言葉ですネ
日本列島の隅々に至る広域にわたって栽培されているゆずは、京都から追われた平家の落人によって全国に運ばれたとする説が有力であり、このことからも古来よりその果実は何かにつけて重宝されていたことが伺へられます。
ゆずは果皮から果汁、種に至るまでの果実の全てが利用されており、最近に至っては油性成分を効率よく抽出した「ユズ精油」が話題となっています。
香り成分をギュッと包み込んだユズ精油は、もともとゆずの香りを食品に着香する目的で抽出されたものでしたが、近年、香りビジネスの台頭とともにその役割が拡大され、様々な製品の付加価値を高める役割を担いつつあるように思えます。
生酢が生薬としての役割を併せ持っていた時代にあっては、果実を搾るだけで手軽に生酢が得られるゆずは大変貴重なものとして、ときの権力者の管理下にあったのではないかと推測しても不思議なことではないと思います。
ともあれ、そのような大切な果実が身近に得られる現在に至っても、気の遠くなる長い空間を経てもなおゆず湯という行事が残っていることを考えながら、今日はゆっくりとゆず湯につかりながら、ゆず特有の香りに癒され無病息災を祈りたいと思います。
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